電車シリーズ 澱んだ空気
電車は恐ろしい。
朝は朝の憂鬱を
夜は夜の憂鬱を
抱えた人々を満載して走る。
空気は深く深く濁っている。
だか電車を乗るという選択をした者には
この空気を避けるという選択肢は無い。
皆、平等にこの淀んだ空気の中、長時間居座り
またその人々はさらに重い空気を生み出す。
そんな中
声のかん高い若い男女は空気を読まず
クダラナイ内容のおしゃべりを大声で続ける。
だが、誰一人して怒りを含んだような雰囲気を持つ者ははいない
皆一切の無関心無関係である。
怒気を含む事自体にさえ疲れている。
気力もない。
無駄であるからである。
昔の怒りっぽい近所のおっさんは貴重だったのである。
存在することさえも。