dedpの思いつき哲学

何か思いついたものそのまま書きながら考えたり。過去の黒歴史ノートが火を噴いたり。

思いついた小話 その6 永遠の命

とある商才の長けた男がいた。

 

あらゆる商売を成功させ、自分の所有する土地を遠大させ

富を独占した。

 

富むものは富を守らなければならない。

富を守るにはどうするすればよいのか?

 

親族息子は信頼に値しない。信ずる事が出来ぬものだったたり

能力に欠けるものばかりだからだ。

 

男は考えた。自分の富を永遠に保持したい。

永遠の命を欲しがった。

 

そんな男にとある報告が舞い込んでくる。

 

石炭を掘るために破壊せよと命じた炭鉱に

遺跡が発見されたと

 

地元の作業員は祟りを恐れて作業が進まない。

業を煮やした男は直接そこに出向かった。

 

住人が恐れる中、男は石造を破壊し、社を燃やした。

ついに一番の問題である炭鉱の中の祠にはいる。

 

するといきなりズズンと音が鳴り入り口が塞がってしまった。

困った男はさらに奥に進むと正方形の石造りの部屋を見つけた。

 

するとギリシャ彫刻のように逞しい男と美しい女がいた。

そんな2人が性悪そうに男に話しかけてくる「永遠の命は欲しくないのかね」と

 

男はしばし思案した、ここで祭られているの地元の住民では「命を司る神」であると聞いた。

己の商才を生かし、神と交渉し永遠の命を得れるのではないかと。

 

男は話に乗ってみる事にした。「ああ欲しいね、ではどうすればいい?」

  

逞しい男と美しい女は答えた「これを飲めばいい」と黒い錠剤をわたされた。

その黒い錠剤を見たが明らかに禍々しく、見るからに毒薬であった。

 

  男は答えた「ああ、これではない、これでは永遠の命を得る事ができない。」

  逞しい男と美しい女「おお、よくぞわかった。永遠の命を得るのは実はこれなのだ」

  と、男は紫色の果実を渡された。

 

男は割って果実の中を見ると生肉のような様相をしており不気味に蠢く。

果実からは気のせいか嗚咽のような声が聞こえる。

 

  男は答えた「ああ、これではない、これでは永遠の命を得る事ができない。」

  逞しい男と美しい女「おお、よくぞわかった。永遠の命を得るのは実はこれなのだ」

  と、大きな蜘蛛を渡された。

 

蜘蛛を真っ赤な紋様を腹に持ち、明らかに毒を有する種であろうと伺える。身を危険に感じた男はその蜘蛛を投げ捨てる。

  

男は答えた「ああ、これではない、これでは永遠の命を得る事ができない。」

  逞しい男と美しい女「おお、よくぞわかった。永遠の命を得るのは実はこれなのだ」

  と、並々と液体を注がれた石杯を渡された。

 

石杯に並々と注がれた液は酸い異臭をグツグツと放ち煮えたぎっている。まるで強酸のように見える。試しに毛を一本落とすと、ジューという音と共にこの世から消え去った。

 

  男は答えた「貴方達は永遠の命を与えると言いながら、私を殺そうとしているのか?」

  逞しい男と美しい女はその問いを聞きクックッ クックッと笑いを堪えている。

 

  男は声を荒げて「どうなのだ答えよ!」というと

  逞しい男と美しい女「よし、よろしいそこまで言うなら永遠の命を授けよう」と言った。

  

男は歓喜し、逞しい男と美しい女の祝福を受け取った。ついに永遠の命を得たのだ。

次に男はまずここから出なければと思った矢先

部屋の灯火が消えあたり一面真っ暗になった。

 

これでは何も見えない。男は手探りで移動する。石の壁を沿っていくと暖かい布の床に辿りつく。ひとまずここで助けを待とうと暫し待った。

 

しばらくするとガラガラと崩落を取り除く音が聞こえてきた。

その音を聞きながら男は永遠の命を利しさらに富を拡大する術を画策した。

 

しかし、崩落を取り除き徐々に光が入って来る度に日ごろと様相が違う事気付く。

 

手は細く頼りなく体が軽い。

暖かい布の床と思っていたものは何か見慣れたものであった。

 

それは横たわる自分の体であった。

 

では自分はと思うと 一匹の蝿と成っていたのである。

 

かくして男は永遠の命を得たのであった。チャンチャン。