昔書いたブログから引越し断片小説 その5
私はスイカが嫌いだ。と言っても食べる事に限ってである。
むしろイメージは大変好ましい食べ物の部類に入る。
まん丸な体に黒波模様の素っ頓狂な姿。
その姿を惜しみながら割ると
食欲をそそる鮮やかな赤が真ん丸く現れる。
その赤をより引き立てるためアクセントを効かせる粒々の黒。
食欲の落ちた夏場に有り難い瑞々しさ、またそれから照り返される光。
見た目だけではない
種を口に含んで吐き出す所作も楽しそうだし、
スイカ割りなんという少し贅沢で楽しい遊びも存在している。
勝手な考えだが
田舎のおじさんがくれるという古き良き時代なイメージも持つ。
正に夏の風物詩と言えよう。
それらのイメージについ騙されて度々口にしてしまうが
やはり不味い。それは変わらない。
--つづく--