dedpの思いつき哲学

何か思いついたものそのまま書きながら考えたり。過去の黒歴史ノートが火を噴いたり。

時間ゾンビ その2

|--出来ることなら俺の勘違い もしくは妄想の方向で--

俺は先ほどの「アカズの扉」を開けようとした。既に一度開いているのだが。

俺が簡単に開けると

アッコが

「うそ!!これって昔絶対開かなかったところじゃん!」と一度目空けた時とまったく同じ事を俺に言った。

俺は扉を開ける手を一旦止めた。

「絶対駆け出したりするなよ」と俺はアッコ目を直視して真剣な口調で言った。

アッコからすれば意味の判らない事を真剣な調子で言われたので

困惑したように「えっ?うんわかった」と答えた。

さっきみたいに走り出されては適わん。

そしてゆっくりと扉を開ける事を再開する。

扉を開ける。

さっきと変わらない風景だ。薄暗くて通路の奥は見えない。

そして薄暗さにより先が見えるかみないかの境界付近に横たわる何かが見える。

なんてこった。

俺が扉を再度閉じようとするとそれを遮る様に「何あれ?人が倒れてるんじゃないの?」と指を指す。

(人は人でもお前だよ)と心の中でツッコミを入れながら扉を閉じることに努める。

正直俺はあんなのは2度と見たくない。

扉を閉めようとする驚いたユッコは身を乗り出し扉を閉じることを阻止する。

「ちょっと何考えてんの、あんた!?人が倒れてるのよ助けなきゃ!」

(人は人でもお前だよ)と心の中で再度ツッコミ入れる。

ユッコはそのまま俺の手を押しのけてツカツカと暗がりにある死体に近寄っていった。

俺も舌打ちをして仕方なしにユッコの2歩後ろを追従する。

死体はうつ伏せの状態にあった。 その死体にユッコが「大丈夫ですか!?」と言いながら近づいていくが

一瞬ユッコの動きがピタリと止まる。その時うっすら感付いたんだと思う。

ユッコは震える手でうつ伏せの死体を仰向けしようとする所で

オレは2歩後ろで「待てよ!」と叫ぶが ユッコはそのまま死体を仰向けにした。

ドチャ

・・・・・

かける言葉が見つからない。 自分の死体を発見した人にかける言葉なんて存在しないだろう、

というかそんな状況が存在しないだろう。

ゆっこはいつもの吊り目がフラットになって目に見えて青ざめている。よく「青ざめる」という表現を聞くが実際に見ると本当に青いんだなと感心した。

そんな表情でジッと死体を見つめている。

オレはかける言葉が見つからないまま2人に近づいた。

アッコが急に「どいうことよ!説明してよ!」

と俺を問い詰めるが言葉に詰まる。

どこから説明すればよいのか、というか俺もよく判っていない。

立ちすくんでいる俺をキュッと涙目でニラミ「なんなのよ!なんなのよ!なんなのよ!なんなのよ!」と言いながらアッコが顔を寄せてくる。

ヤバイ様子がおかしい。

自分も自分の死体を見つけたらこうなるのかと考えている間もどんどんアッコが叫びながら近づいてくる。

そしてお互いの顔が20cmほどまで近づいた時にそれは起こった。

不意にユッコの左目「だけ」がギョロリと一回転した。

俺は「え?」と思っているとアッコも自分の異常に気付いて叫ぶのをやめた。

またその次の瞬間 

「コポッ」

という、気色の悪い小さな音が何故かハッキリと聴こえ、

ユッコの額の少し左に小さい真っ黒い穴が空いた。

そこから公園やプールとかにある水飲み用の蛇口から水が出るように、赤黒い血が

ピュピュと2回噴出し、その後に蛍光色のピンク色の肉片が膿のように漏れだした。

無表情のユッコが「ちょ ナにこレ」とあやしい呂律で呟いた直後カクンと膝が抜けて倒れた。

俺は何が起こっているがよくわからないまま立ちすくむ。

幾分が時間が経過したのか

袈裟切り状にかかったユッコの血が服に染みて生暖かいことで

やっと俺はヤバイ事態になっている事を実感する。